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【視察報告】JA石川かほく、立川市、ふじようちえん、厚生労働省

 10月8日から10日にかけて、文教厚生委員会の一員として、JA石川かほく、立川市、ふじようちえんをそれぞれ視察し、厚生労働省では介護保険の担当職員と意見交換を行なってきました。

JA石川かほく定期巡回・随時対応サービス「ほのぼのヘルプ」

 石川県津幡町(つばたまち)でJAが運営する訪問介護サービスについて視察。テレビ電話などの設備機器の説明の他、利用者とのやり取りの様子も含めて、4つのケースについて介護サービスの利用実態や利用料など細かく状況を伺うことができました。

 職員の方からの「必要なサービスを利用しようとすると限度額をすぐに超えてしまう」「報酬が低いので医療依存度の高いケースでは対応が困難」とのお話は今の介護保険サービスの問題点を鋭く指摘するものでした。

 島根県内では「24時間サービス」を提供する事業所はゼロ。高い利用料負担や採算が合わないことから、事業化は全国的にも一部にとどまっています。

 保険料が高騰する一方で必要なサービスが受けられない。介護保険の構造的な問題点をあらためて認識させられました。

立川市 待機児童対策と児童の発達障害に対する取り組み

 立川市の待機児童数は86名(0歳児26人、1歳児32人、2歳児24人、3歳児4人)とのことで、かなり深刻な状況にあることが伺えました。行政の対応としては、認可保育所の増設や建替えによって定員を74人増やすことや「定期利用保育」や「グループ保育室」の枠の拡大で対応するとのことでした。

 核家族化や共働き家庭の増加が保育園希望者の増化につながっているものと思われます。数字には表れない待機者も多いことから、認可保育園を抜本的に増やすなどの対策が急務のように感じました。

 発達支援充実の取り組みは、出雲市よりかなり進んでいると感じました。「立川市子ども未来センター」には、「まんがパーク」をはじめ子育て支援の拠点施設となっていました。発達支援の相談受付もあって「子育てのワンストップサービス」と行った印象で、実際に発達支援のプログラムに参加する児童も増えているとのことです。気軽に子育てのことを相談できる場所があるだけで大きな安心感が生まれていると感じました。出雲市にもワンストップサービスを提供する子育て支援の拠点施設の検討を求めたいです。

認定こども園 ふじようちえん

 学校法人みんなのひろばが運営されている「認定こども園 ふじようちえん」にてユニークな園舎を見学させていただき、園長先生と意見交換を行ないました。

 円形の園舎が特徴的で、全国的にも注目されているようでした。2009年に「認定こども園」(幼稚園型)に移行され、幅広く幼児教育・児童福祉事業を展開されていました。「子ども・子育て支援新制度」への移行を前に、利用料金やオプション設定など、保育のあり方について考えるいい視察となりました。

厚生労働省 介護保険「定期巡回・随時対応サービス」

 厚生労働省老健局振興課の担当者より、「地域包括ケアと定期巡回・随時対応サービス」の現状について説明を受け、JA石川かほくでの取り組みを踏まえ意見交換を行ないました。

 24時間サービスを強調し導入された「定期巡回・随時対応サービス」ですが、低い介護報酬がネックとなり参入事業所は一部に限定され、現在、全国で325事業所(島根はゼロ)にとどまっています。説明では「有料老人ホームやサービスつき高齢者住宅などに拠点を置いて事業化してほしい」などのお話もありましたが、事業化に踏み切るには相当の覚悟が必要となるものと改めて認識を強くしました。

 同時に、国が進める「施設から在宅へ」との方針に多大な無理が生じていること、保険料の高騰が今後も続き7000〜8000円台にはなるとの見方も示され、サービスの縮小の一方で国民負担の増加が行なわれることも明らかになりました。

 財源を消費税に頼るのではなく、莫大な利益を上げている大企業や高額所得者に応分の負担を求め必要に応じて、所得に応じた税制で社会保障の財源を賄うという抜本的な改革が必要であると認識をあらたにしました。